神さまを失くした日
誰かに膝枕をしてもらうことなんて、いったい何百年ぶりだろうか。
目が覚めたら、見知らぬお姉さんの膝の上だった。
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今日は昼ごろから、六本木ヒルズで行われている楳図かずお展を観に行ってきた。
前日、友人がチケットをとる日を間違えたと、余ったチケットをゆずってくれていたからだ。
ひと通り展示を見終えたころに、少し寒気がしてきた。さっさと帰ろうと思いつつも、少しだけお土産コーナーを物色して、レジに並んだ。
会計をしているときに、急激に酸欠のような気持ち悪さが襲ってきた。なんとか、会計まで済ませようと、スマートフォンでの支払い方法を指定したところまでは覚えている。
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真っ白い、天国のような景色。夢を見ているときの感覚だった。
そんな景色を眺め、夢をみている自覚が芽生えはじめた頃に、意識は徐々に現実世界に戻っていった。
そして、冒頭の状態で、目を覚ます。
そこではじめて、自分の身に起きたことを把握した。意識を失って倒れたのだと。
フロアの責任者のような方がお水を差し入れてくれた。起きてからの意識ははっきりしていたし、特に異常はないようだったけれど、少し座って休ませてもらった。その後、スタッフの方に御礼を伝え、帰宅。
失神や寒気の原因は明白で、前日に行った3回目のワクチン接種だ。接種後あまり体調への変化を感じられなかったので、美術展に行ったが、ワクチン接種後は数日、安静にしていた方がいい。
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失神。
この日、自分は神さまを失くしてしまったようだけれど、優しさを向けてくれた人たちは皆んな神さまだった。